羊をめぐる冒険


学生生活の集大成として、北海道から届いた友人の絵はがきの写真だけをたよりに旅行をすることになりました。五日以内に写真に載っている星の痣がある羊を探さなければ、僕は右翼の大物に消されることになるらしいですが、まあいい、取りあえず知床でオーロラ(人工)を堪能してきます。


思えば三年前の今頃、僕らの先輩も卒業旅行として北海道を旅行していました。知床で知床旅情を歌うんだとか言って躍起になってた先輩がた。とうとう同じ歳になってしまったのかー。なんて、時の流れに身を任せた事を後悔しつつ、そろそろ出発します。
BGMは「チャイコフスキー交響曲第一番 冬の日の幻想」


「ねえ、あと十分ばかりで大事な電話がかかってくるわよ」
「電話?」僕はベッドのわきの黒い電話機に目をやった。
「そう、電話のベルが鳴るの」
「わかるの?」
「わかるの」
(中略)
「羊のことよ」と彼女は言った。「たくさんの羊と一頭の羊」
「羊?」
「うん」と言って彼女は半分ほど吸った煙草を僕に渡した。僕はそれを一口吸ってから灰皿につっこんで消した。「そして冒険が始まるの」


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